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Aug 19, 2025

広告賞から見るPBデザインのトレンド

CATEGORY : THOUGHT LEADERSHIP

モメンタム ジャパンは世界的なプライベートブランド(以下PB)のパッケージデザインアワード「VERTEX AWARDS 2025」において、西友のPB「みなさまのお墨付き」でゴールドを受賞しました。(当社では10年以上にわたり、当ブランドのブランディング支援を実践する中で、年間100SKU超のパッケージデザイン開発を行っています。)

日本初!快挙の裏側で見えたPBデザインのこれから

昨年、国内初のブロンズ受賞を果たし、今年はついにゴールド獲得という快挙へ。そんな私たちの実感として、ここ数年、日本のPBにおけるパッケージデザイン表現が確実に変わってきています—その肌感覚は、きっと一般の生活者にも届き始めています(と、信じたい)。かつて「低価格でナショナルブランド(以下NB)の代替品」という立ち位置だったPBは、今やブランド戦略の中核を担う存在へと進化を遂げています。そう言っても過言ではないのですが、世界の潮流はさらに一歩先を走っています。

国際的なパッケージデザインアワードでは、PBがNBを凌ぐ評価を得るケースが次々と生まれています。受賞作品に共通するのは、ただ美しいだけではない、ブランド哲学や購買体験までをパッケージに落とし込む姿勢。色彩やタイポグラフィーの選び方一つにしても、「棚で目を引く力」と「文化を越えた共感」を両立する戦略が明快です。特に印象的なのは、「地域らしさ」を大切にしつつ、「グローバル基準の美意識」と「情報設計」を高いレベルで両立している点。洗練されたビジュアルと緻密なストーリーテリングによって、PBであること自体が“選ばれる理由”になる—そんな時代が始まっています。

一方、日本市場では、PBデザインの見直しは進んでいるものの、いまだ「コストダウンと差別化」の延長線上にとどまっているケースも少なくありません。視認性や利便性への配慮はされているものの、「ブランド体験」や「感性への訴求」といった軸では、世界の先進事例に比べてまだ伸びしろがあると感じます。
世界のPBが見せる進化は、日本のPB開発にも多くのヒントを与えてくれます。価格でも機能でもない、「ブランドとしての表現力」で選ばれる時代。PBは今、デザインと物語性を武器に、次なる競争軸を問い直すフェーズに突入しています。

 

※当社開発の西友「みなさまのお墨付き」パッケージデザインの一例。
 上段・左が「VERTEX AWARDS 2025」ゴールド受賞作品。※参考:「VERTEX AWARDS」 公式サイト